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When you RubyKaigi, you must party hard!

10:15, January 6 2025

これは何

いわゆる「ポエム」です。


今年はRubyKaigiが松山で開催され、私はその(ローカル)オーガナイザーの一端を担っているのだが、それをしていて思ったこと、また去年から「真のRubyKaigi」「真のテックカンファレンス」と呼んでいる現象について言語化を試みようと思う。RubyKaigiが近づくとRubyistたちが開催される地方で観光したり飲んだくれたりしている様子がTwitterなどで観測されるようになる。これを見て真面目な社会人をしている方は「本当にこんなに遊んでいて大丈夫なんだろうか?」と思われるだろう。大丈夫である、どころか、地方開催時代のRubyKaigiの本質は実はそこにあるのでは、ということについて書きたい。

インターネット技術の標準化を行なっている人の間では「真のIETFは廊下にある」といわれることがある。これはセッションの範囲ではできない裏ネゴこそが実は標準化の成否を占っているのだ、という文脈で言われている。そのように言ってしまうと技術的な営みではないのでは?と思われるかもしれないが、実際は限られた時間の中で行われる定型的なセッションだけでは決められることは少なく、メーリングリストでのやり取りの追認以上のことを行うのが難しいという現実があり、そこでメーリングリストで話したことについて顔を突き合わせて話すことのできる廊下での会話が重要になってくる、というのは理にかなっているだろう。このあたりについてはunasuke.fmの第9回で話させていただいた。

この「テックカンファレンスの本質は廊下にある」ということを超えて、地方開催時代のRubyKaigiは”hallway track”が開催される都市全体に拡がり、「RubyKaigiの本質は飲み会と前後の観光にある」、といってよい。これは飲んだくれて遊んでいることを正当化する冗談ではなく本気である。なんならローカルオーガナイザーの最大の責務はこのような場のセッティングにあるとすら言ってよい。

地方開催時代の、と言っているところが一つのポイントであると思っている。これは東京でテックカンファレンスを開催するとスピーカー・コミッターが近くに住んでいることから「終電があるんで」といってイベントに出ずに帰ってしまい、結果参加者とスピーカー・コミッターの接点が減ってしまう。一方でこれが地方で開催された場合は宿泊を伴っているため終電の概念が事実上消滅し、飲み会でRubyのことや技術のことについてスピーカー・コミッターと話すことができるようになる。また沖縄で顕著だったが、どうせ行くのも帰るのも時間がかかるのでついでに前後数日に観光することになる。そうすると「同じような格好の人」が街中や観光地にいるので一緒に行動するようになり、さらに話す機会ができる。飲み会や前後の観光は、一般参加者とスピーカー・コミッターの接点を最大化するために役立っており、地方開催は一見参加者にとって不利になるように思うかもしれないが参加した人にとっては交流の機会を最大化するチャンスであるといえるだろう。スポンサーがイベントに合わせてタダ飯チャンスを作ってくれているのは単に名前を売るためにとどまらず、議論の場を提供することで自社の未来の開発に役立てている可能性すらある。特にその濃度が高まり効用が高まるのが地方開催のRubyKaigiであるといってもよいだろう。

そんなわけでローカルオーガナイザーはよい飲みと遊びの場を作ることに心血を注いでいるし(もちろんそれ以外もそうだが)、参加される方においては遠慮することなく飲んで遊んでほしい。これが未来のRubyのためになれば業務だと言い張れるし、普段オフラインで話せない人から刺激を得て将来の開発につながれば業務だと言い張れる。RubyKaigiのトークが現場で聞いて即座に業務に役立つものが少ないというのは常々言われていることだが、であればこそ気持ちを持った分野について参加者と交流をすることこそが業務に役立たせることであり、ならば全力でイベントに出て遊んで交流することは業務に役立っていると言ってよいのではないか。


(追記 1/7) タイトルはhttpartyというHTTPライブラリのpost-install messageからとっている。余計なメッセージを出すなということでこのPull Requestをはじめとして何度か削除が提案されているが現在でも残り続けている。