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【2024年版】おすすめの英語圏YouTubeコンテンツ

11:00, June 29 2024

タイトルの通りです。2023年版はこちら。

これは何

これも2023年版の記事の同セクションを見るとこれをまとめているモチベーションが書いてあるのですが、 #kaigieffect で英語を学びたい人が増えているということを受けて、私が普段見てきた/聞いてきた中で気に入ったYouTubeのおすすめコンテンツを紹介していく記事です。今回はチャンネルの紹介というよりも特定のエピソードの紹介の側面が濃いです。

英語学習に関する個人的な意見として、日本の英語教育は基礎の養成に関してかなり高いレベルで行っていると思っていて1、触れる機会をどうやって作るかの段階の人が多いのでは、と思っています。これは幼少期にアメリカに住んでいたことがあっても学術書や文学を読んだりレポートや論文を書くための「難しい文法」の基礎は大学受験で文法を叩き込まれたことによってできているという個人的な経験からも言えると思います。それもあって、「自分のやってる趣味の英語圏のYouTubeコンテンツを見たり聞いたり、あるいはゲームをやってるなら英語圏のコミュニティに入るのがおすすめ」とよく言っています。本記事はその手助けのために個人的に気に入ったコンテンツをリストアップするものです。

もちろん英語学習者用に作られているコンテンツではないので、文法的に間違っていたりフォーマルな英語でなかったり(特にゲームのライブ放送では多い)することはしばしばあります。そのため、どちらかというと精読(この場合精「聴」ですかね?)よりも「ある程度知っている・興味があるコンテンツについて、英語で触れる機会を作る」のために利用するのがよいのではと思います。実質無限にコンテンツはあるので惜しみなく流していきましょう。


(本文、以下基本的に常体)

Documentaries in General

Nexpo

扱っているコンテンツ的に怖いものが苦手な人は要注意という前置きを置いた上で、インターネットミステリーやreal-life horror(実世界における怖いものを紹介する)ジャンルでは他の追従を許さないベスト。Nexpoフォロワーみたいなチャンネルがいくつかあるけれどはっきりいってクオリティが勝負になっていない。

“Finding Yeezus” / Grouse House

オーストラリアのドキュメンタリー制作チャンネルがまとめた、Kanye Quest 3030の製作者を探すドキュメンタリー。Kanye Quest 3030はNexpoでも扱われたことのあるテーマで、RPGツクールで作られたカニエ・ウェストをテーマにしたゲームの中のとあるNPCにとあるキーワードを打つと謎の空間に飛ばされ「魂の昇華(Ascension)」のためのプログラムが始まるという要素が隠されていて、それがAscensionismというカルトの勧誘のためのプログラムなのでは…?ということで話題となっていた。このドキュメンタリーではAscensionismを名乗って活動していたアーティストなどを追跡して最終的にKanye Quest 3030の作者にたどり着きその意図についてインタビューすることに成功している。

bald and bankruptのThe Darien Gapシリーズ

この人も最近はいろいろと問題が取り沙汰されており一概におすすめできなくなりつつはあるのだけど、このシリーズは圧倒的なジャーナリズム的価値があるので紹介する。北アメリカ大陸と南アメリカ大陸をつなぐパナマ・コロンビア間のダリエン地峡は南米からアメリカ合衆国を目指す移民がここを通って越境することで知られているが、未開発のジャングルが残る上、武装勢力やカルテルが暗躍する命の危険の非常に高いエリアである。旧共産圏の旅行レポートを数多く投稿していたYouTuberのbald and bankruptがもう1人のYouTuberとともに移民を目指す集団とダリエン地峡を徒歩で横断し、メキシコの貨物列車でアメリカ国境を目指した旅路をまとめたシリーズで、移民を目指す集団とほぼ同じ条件で過酷な経路を旅した記録を残している点で非常に価値の高い記録となっている。

Gaming

aMSa: The Only Yoshi (who could do it) / AsumSaus

日本の大乱闘スマッシュブラザーズDX(Super Smash Bros. Melee)プレイヤーのaMSa氏を扱ったドキュメンタリー。aMSa氏がメインとしているヨッシーは競技Meleeシーンでは決して強いキャラクターであるとは言えず、長らく最悪のキャラクターの一つと思われていたが、ヨッシーにしか存在しないテクニックの存在とaMSa氏の執念によってTier Listを駆け上がり、ついにsupermajor tournamentの一つであるThe Big House 10を制することになった。その過程と、aMSa氏のプロMeleeプレイヤーとしての半生を追いかけたドキュメンタリー。Meleeの競技シーンを扱ったドキュメンタリーでおすすめのものは数多く存在するがその中でもトップクラスのもので、特に日本のいちゲーマーとして感動する内容だったため特にこれを取り上げる。

THE ABSURD DEPTHS OF THE POKéBLOCK / Linneus

Pokéblocks、日本語でいうポロック(ルビー・サファイア・エメラルドにおけるコンテストのステータスを調整するアイテム)に関する「すべて」を扱った動画。え、ポロックのメカニズムについてだけで1時間近い動画が本当に作れるの?それだけ闇の深いシステムなんですよこれ…

Games You Should Only Play Once / The Cursed Judge

二度目以降では初回プレイで完全に価値観を変えられてしまうため一度目のプレイでしか完全な体験を味わうことができない作品群を紹介する動画。

Moon Channel

ゲームに関する社会現象を取り扱ったドキュメンタリーを数多く出しているチャンネル。作者に法律のバックグラウンドがあるため著作権関連の洞察が深く、ここでは特にそのような動画を紹介する。タイトルの通り、任天堂とセガで著作権・知的財産権に対する姿勢が違うように見えるのはなぜ?というテーマを扱っている。

Kaze Emanuar

スーパーマリオ64の最適化(プレイではなく、ソフトウェア自体のmodを行うことでの最適化!)を行っている人が、主にNintendo 64のソフトウェア面・ハードウェア面の特徴について取り扱っているチャンネル。

J-Tubing/J-Vlogging (日本に関するコンテンツ)

Life Where I’m From

前回紹介していない中でおすすめのチャンネルで、日本での生活について過剰にdramatizeすることをせず落ち着いたトーンで紹介している点が非常に好感を持てるチャンネル。外国から観光客として来ていたらあまり行かないであろうところもカバーしているのがよい。

I Rode the Craziest Trains in Japan / Not Just Bikes

この記事を書きながらおすすめに出てきたら実際によかった動画。日本の鉄道の中でも特色のある車両について紹介している。特色のあるもののoverviewとしては非常によい。

アメリカ政治/国際情勢について

前回も書いたように、アメリカ政治とその周辺に関するコンテンツや国際情勢に関するコンテンツは見てはいるのだけど、積極的にはおすすめしていない。その理由は日本の政治について扱った日本語のチャンネルを勧められるかどうかと同じで、視聴数に最適化しようと思ったら政治の両極に対してアピールする過激な内容を扱うのが最も得策で、冷静に学術的な分析をすることや、冷静に複雑な事象を解きほぐしていく内容は視聴数につながらないからである。

国際情勢、特に進行中のロシアによるウクライナ侵攻に関するコンテンツは非常に色が出やすいのでわかりやすく、(1)ロシアにとって都合のいいことしか言っていないチャンネルはまあ息がかかってると見てよい、(2)一方で「プーチンは終わり!w」「ロシアは終わり!w」みたいな感じのサムネイルやタイトルを出しているチャンネルも同様に見るに値しない。(1)については歴史を扱っているチャンネルでも「西側はdecadentなので終わり!w」みたいなことを言っているチャンネルがいくつかあるが、ロシアの息がかかってなくても極右過激思想まであと一歩みたいなところがあるのでおすすめしない2。一方で(2)については西側ニュースメディアもやるので本当に救いがない。あえてこのジャンルで勧めるならば経済の面から国際紛争を扱っているWilliam SpanielPerun、あまりメディアが取り上げない地域の紛争を扱っているCaspianReportあたりだろうか。結局依拠しているstone-cold factは何なのかというところが見えるのが大事だと思っている。関連して、アメリカの軍事関係者だからといって軍事のrealityに基づいて話しているからよい、というわけでもない、という問題があり、特にイスラエルのガザでの戦闘行為に対しては大抵の軍出身者はイスラエルにかなり肩入れした主張をしている。そういう意味では、ヨーロッパ在住の投稿者の動画のほうがイスラエルについては「染まっておらず」、アメリカについては傍観者として客観的であり、ウクライナについては身近な問題として地に足のついた感想を持っている、という印象がある。

とはいえ難しい内容なので、確実に学びたいなら英語で無理してやるよりも日本語の信頼できるチャンネル(例えば地経学研究所とか国際政治chとか)を見たほうがいい。

国際紛争について扱っているコンテンツをoverdramatizeしているチャンネルは基本的に避けたほうがよいと思っている。戦争を視聴数稼ぎの種としか見ておらず良心の呵責を感じていなさそうなチャンネルから得られるものは少ないだろう。実際歴史ドキュメンタリーを扱ってた有名コメンテーターが最近は完全に戦争ドキュメンタリー用チャンネルで視聴数稼ぐモードになっていて私は渋い顔をしている。

  1. これは東京を離れて地方に住んでいて思うのですが、英語を公用語としない国にしては首都の外で英語が「機能する」度合いは日本は極めて高いと思っています。これにはテレビやゲームでカタカナの言葉に触れている度合いが高いからという要素があると思っています。なので外国から日本に来る人には「英語わからんって言ってても言葉は拾えるからsentenceじゃなくてwordの組み合わせでゆっくりしゃべるとそっちのほうが意外と拾ってくれる」っていうアドバイスをしています 

  2. 前回のリストでやらかした。両論併記には気をつけなければならない、というのを地でやってしまった。なおやらかしたことについて隠すつもりはなく修正履歴は残っている